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鉄道ジャーナリスト blackcatの鉄道技術昔話

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2018年 12月 29日

スラブ軌道の話

かつて、大阪に本社を置く軌道保守会社のホームページ製作のお手伝いをしたことが有り、【主に企画段階でのレイアウト及び調整事務等】その際少し軌道のことを勉強させていただきました。【現在その会社のホームページはリニューアルされていますので、見ることが出来ませんが、社長を擬人化したアニメーションGIFをトップページに持ってくるなど、堅いイメージを払拭するものでしたので、ご覧になった方も居られるかもしれませんね】

さて、余談はさておき、今回は軌道のお話のうち、「スラブ軌道」について簡単にお話をさせていただこうと思います。

スラブ軌道の開発が始まったのは、昭和40年だそうで、昭和42年12月には、東海道新幹線 名古屋、岐阜羽島両駅構内に試験敷設されたと記録されています。その後、北陸本線の浦本トンネル【浦本駅~能生駅間】他4カ所に敷設されたと書かれています。

以上 交通技術 昭和46年8月参照

スラブ軌道の特徴は、

  1. 道床作業が不要となり、大幅な省力化が可能
  2. 仕上り精度が良いので,乗り心地が良く、安全度が高い
  3. 修繕資が減少する。と同時に、高速化に対する追加投資は必要としない
  4. 土木桝造物の建設費の節減が期待でぎる
とされています。

実際には、高架軌道上にコンクリートで固定された軌道を据え付ける構造のため、騒音は大きくなる傾向になります。
最近は、ラダー軌道等と呼ばれる騒音に配慮した軌道が開発されています。
スラブ軌道の構造は?
さて、スラブ軌道の構造について少し見ていきたいと思います。
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路盤コンクリートの上に、軌道スラブと呼ばれる、ブロックを載せる方式で、路盤コンクリートの突起を挟むように設置されれています。
敷設後は調整モルタルで固める方式となっています。

交通技術の記事には、地平区間でスラブ化した記録が出ています。
少し見てみましょう。
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バラストから、アスファルトに変わっている区間が

スラブ軌道は、山陽新幹線をはじめ、当時高架化された区間では国鉄・私鉄を問わず採用されましたが、構造上コンクリートの上にコンクリートを載せる方式のため、騒音問題はクリアできず、スラブ軌道の下にゴムを敷く防振軌道などもの研究開発が行われています。
また、その後鉄道総研が開発した技術として、ラダー軌道というものがありますが、これは次回にでもお話をさせていただこうと思います。

参考文献
交通技術 昭和46年8月号

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by blackcat_kat | 2018-12-29 12:46 | 線路
2018年 12月 02日

ワキ10000形貨車のお話

高速貨車が誕生した頃の国鉄を取り巻く環境
国鉄が、高速貨車を誕生させたのは、昭和41年でした。
名神高速に続き、東名高速も開通した頃で有り、本格的なトラック輸送が幕を開けようとしていました。
国鉄の貨物輸送は、旧態依然としたヤード系輸送が中心で有り、近距離を中心に貨物輸送が浸食されている時代でした。
そこで、国鉄としても貨物輸送の近代化を図るため、昭和39年2月14日に国鉄本社内に、貨車近代化委員会を設置し検討が開始されました。

  1. 輸送方式の近代化および、列車の高速化に対応し、かつ保安度を十二分に備えた貨車のあり方
  2. 積載貨物の品質および取引単位に適合する貨車のあり方
  3. 貨準近代化に伴う運賃料金その他輸送制度
などについて調査審議してきたが、貨車近代化の基本方向についてはおおむね次のような中間結論を得、去る十月二十七日第330回理事会において了承されたということで、下記の通り決定されました。
その方向性としては、
  •  全国主要都市に貨物拠点駅を設け,拠点駅間に高速貨物列車を設定する。列車の単位は600~1000 t とし、EF65形電機の単機または重連けん引とする
  • 列車の速度は,主要駅について貨物の有効時間帯輸送に対応する所要到達時間から最高110km/h以上とする
  • 高速性能を備える必要から,貨車は2軸ボギー車とする
  • 今後の貨物輸送形態は,コンテナ方式とパレット方式を主力とする
高速貨車、ワキ10000の試作

と言った内容で有り、この基本線に沿って高速貨車の具体的な開発計画が検討された結果,40年12月を目途に高速コンテナ列車1編成を試作し,東海道本線で試用することとなり,その先行試作としてこのワキ10000形式有ガイ車が試作されることになりました。
ワキ10000形は、ワム80000をベースにスペースを拡張して、ボギー車としたものでした。【同時期にワキ5000が誕生していますが、こちらは、ワキ10000をベースに85km/h車として量産した車両で基本的な荷室の構造は同じ。】
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ワキ10000をベースに量産されたワキ5000

ワキ10000は、貨車で空気バネを使用した貨車として注目されますが、止むに止まれぬ事情があったようです。
当時の交通技術という部内誌を参照しますと、その辺が記載されています。
問題点の第1は、積車時と空車時の重量差が非常に大きいこと、第2には、貨車は一定の配属個所がなく全国共通運用であることである。第1の問題点とは、たとえば自重30トンの通勤電車でも最大荷重はせいぜい20トン程度にすぎないのに対し、現用のコンテナ専用ボギー貨車でも自重16トン、荷重32トンで、積載重量48トンは空車重量の3倍にもなることである。
連結器の中心レール面上からの高さは、一般貨車では空車時最低835mm、積率時最低790mmと制限されているが、この制限内におさまるパネで、しかも高速性能をよくすることは、相反する条件をパネに要求することであり、その設計は極めて困難である。これの解決策としては、柔いコイルパネを使用する方法と、荷重の有無に関係なく車体の高さを一定に保つことができる空気パネを使用する方法との、2つの方法しかない。
試作車に関しては、比較検討のため、空気バネ台車の TR93 形(汽車製造東京支店製)とコイルバネ台車の TR94 形(三菱重工業三原製作所)の2種類が試用されました。)
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他にも貨物列車と言うことで、特殊な事情がありました、貨車の場合最高速度が低く抑えられてきた背景には、最高速度から非常ブレーキで600m以内に停車しなくてはいけないという基準でした。
特の貨車の場合、最高速度を上げてかつ、この距離を実現しようとすると、空走時間を短縮するための電磁弁の設置や、ブレーキの緩解を早めるために在来のブレーキ管に加えて、元空気だめ間を引き通さなくてはなら無いという問題が生じました。
高速化車の場合、こうした作業が従来の貨車のブレーキホースの接続以外に作業として増えることとなるわけです。
ただし、国鉄線上で運用する場合、1両単位で他の貨車と連結する場合も考えられるため、従来のブレーキホースも省略できないという問題を含んでいました。

そこで、そうした作業を少しでも軽減できるようにと考えられたのが、ブレーキ管と連結器を一体化した連結器が開発されることになりました。
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なお試作車は、緑2号(湘南電車の緑色1色)に塗られており、戸袋も、ワム80000と同じ鋼製で製作されていたため、非常に重く、具合が悪かったことから、量産車ではアルミ製引き戸に変更されています。
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白黒ではイメージ掴みにくいですが、緑1色だったそうです。

なお、その後試作車も量産貨車と同じ鶯色に変更されたそうです。

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量産型のワキ10000はアルミドアとなり無塗装化で目立つ存在に

参考文献
鉄道ピクトリアル、昭和40年6月・10月号
100年の国鉄車両
交通技術 昭和40年5月号

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by blackcat_kat | 2018-12-02 18:23 | 貨車