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日本国有鉄道研究家 blackcatの鉄道技術昔話

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2021年 05月 02日

国鉄における保安装置、デッドマン装置とEB装置 第一話


保安設備と鉄道
鉄道は装置産業と言われるほど、多くのシステムで構成されています。現在の列車の保安装置だけを見ても、ATS・ATC・EB装置・TE装置と言った感じで、ATSとかATCといえば、何となく判るかと判るかと思いますが、EB装置とTE装置の違いはと言われて明確に判るでしょうか?
実は私も曖昧だったので、今一度その歴史を含めて見直してみたのがこちらのblogになります。
基本的には、ATSやATCが信号と連動する保安装置であるのに対して、EB装置や、TE装置は途中で何らかのトラブルが発生したときに対応する装置であると言えそうです。
特に、EB装置は、乗務員が不測の事態(失神などで意識を失った状態など)になった時に非常ブレーキをかけて停止させることを目的としたもので。EBの意味は、(Emergency Brake)の略とされています。詳細は後述します。
また、TE装置は、(One Touch Emergency Device)のTouch Emergencyの略とされていますがこちらも、詳細は後述します。
さらに、EB装置が開発される以前には、デッドマン装置と呼ばれる保安装置が電車などに設置されていました。
なお、国鉄では昭和36年以降デッドマン装置の開発が進められ、電車・気動車と機関車で異なるデッドマン装置が開発されることとなりました。
なお、国鉄ではデッドマンという呼称が余りよくなかったからか、デッドマン改め、EB装置という言い方をしていますが、実際には動揺のものです。
ただし、私鉄などで採用されるデッドマン装置が常にスイッチを押し続ける(マスコンハンドルのレバーと一体化したものが多い)のに対して、国鉄(JR)の装置は一定時間操作しないと警報を発して、停止措置を行なうと言う点で異なっています。

TE装置以降は、次回に詳細を書かせていただきます。

デッドマン装置とは
読んで字のごとくですが、運転士が不測の事態(意識を失うなど)の状態になった際に、直ちにブレーキがかかると言うことを目的としたもので、運転中に運転士が常に保持していなければならない装置部品が取り付けられているものとされており、ワンハンドルマスコンの場合は、両側のバー下部にスイッチが設けられているほか、足踏み式のレバーであったり、マスコンを抑え込んでいないと直ちにブレーキがかかるといったものが一般的でした。
他にも、国鉄の車両の場合は、機関車に設置されたEB装置(後述)が一般化しており、一定時間何らかの操作を行なわないとブレーキ装置がかかるというもので、後述のDD13形で試用されているデッドマン装置が、その原形と言えそうです。
なお、デッドマン装置は電車にも装備され、古い101系などでは足踏み式のデッドマン装置が残されたりしていました。
(電車も後に、機関車で使用されたEB装置に変更されることになります)

国鉄時代に設置された、デッドマン装置
機関車では、DD13形にデッドマン装置が設備されたという記録があります。
以下、交通技術という国鉄部内紙に掲載されていた記事から引用します。
v)デッドマン装置もこの機関車の特徴の一つである。即ち在来の動力車に用いられたデッドマン装置は単に力行回路をしゃ断するに止ったが、この機関車では、さらに瞥報及び一定時聞を経てプレーキの非常吐出を行い、機関車の停止にまで発展せしめたもので、一般動力車にも適用しうるようその成績が期待される。即ち逆転機の中立、主ハンドルの切位置以外にあるときは、主ハンドルを常時下方に押下けていなければならない。手を放すと接点が切れてベル瞥報が鳴り、約4秒後には機関を遊転に、変速機を中立にもどすとともに非常プレーキを作用させる。一度非常プレーキが作用すると、ハンドルを切位置に戻さぬと元に復さないが、4秒以内に気付いたときは主ハンドルを押下げれば機関の遊転、非常プレーキはかからないで原状のままで運転を継続することが出来る。

交通技術_1957-11から引用
内容的には、デッドマンと言うよりも後のEB装置に近いもののように見えます。
実際、機関車乗務員の助士廃止に際しては、この改良型と言える装置(EB装置)が昭和44年中に改造工事で機関車に取り付けられています。
合わせて無線による入換え作業の実施などの合理化が行なわれています。

電車のデッドマン装置の設置は、三河島事故が契機とされています。
このときデッドマン装置の整備と合わせて、前照灯の強化、車内放送装置の整備などが併せて行なわれています。
国鉄における保安装置、デッドマン装置とEB装置 第一話_a0091267_09401642.png
出典:国鉄監査報告書 昭和37年

なお、デッドマン装置自体は昭和36年から技術課題として設置されていた模様で古い101系などに足踏み式のデッドマン装置が設置されたそうですが、その概要を当時の国鉄部内紙、交通技術(1963年10月号)に掲載されていましたのでアップさせていただきます。

電車の仕組は、足踏スイッチとブザ・限時継電器とからなり、その機能は、運転士が足踏スイッチを踏んでいるときは、ブザや継電器に通電せず、非常プレーキ回路にも通電しない、ところが何等かの事故で足踏スイッチ上の足を離すと、パネでスイッチ接点がつき、ブザ鳴動と同時に限時継電器が動作し、一定時間を過ぎると接点を閉じ、非常プレーキがかかるようになっている。この余裕1時間は0.3~180秒間変化さられるが、現在10秒を標準にセットされており、足踏スイッヲの2段踏込みにより笛弁テコをj-1\1し空気筒のl火も可能である。ディーゼル動半の場合は、限時継電器動作と同時に機関をアイドルにする。
なお、機関車の場合は一定時間の操作がないと警告がなるというもので、EB装置の原形といえるもので、ED30形電気機関車に導入されました。
再び、引用させていただこうと思います。
ED30形機関車のものは、小型継電器・コンデンサや抵抗器を組み合わせて時限を取る投入遅延時限継電器二組と速度継電器一組を組み合わせてデッドマン装置として動作させるもので、速度検出器・主幹制御器ハンドル・確認押しボタン・警報ブザ等から構成されている。その機能は主幹制御器の主または単弁ハンドル或いは逆転・交直切換ハンドルが、いずれかの位置をとってから30秒(25~90秒に調整可能〉経過する間に確認ボタンを押すか、なんらかのハンドル操作を行なわなければ、自動的に非常プレーキがかかつて列車は停止するようになっている。反対にハンドル操作・確認扱いによって、一旦回路を切れば、つぎにその時点を起点として、再び30秒間が刻まれる。もちろん動いていないときは、速度検出器が動作しないから、デッドマン装置は作用しない。
引用:交通技術(1963年10月号)

ED30形に設置されたデッドマン装置は後のEB装置に近いものであることが判ります。

電車にはその後改良型デッドマン装置を取り付け
電車に関しては、その後改良が加えられて、足踏ペタルを左右二カ所設置したうえ、手で操作可能な手スイッチ追加されて、そのいずれかを作用させていることでデッドマン装置が作用するようになっていたようです。

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国鉄があった時代 JNR-era
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by blackcat_kat | 2021-05-02 10:41 | 保安装置


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