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日本国有鉄道研究家 blackcatの鉄道技術昔話

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2018年 04月 17日

気動車発達史 22 高出力気動車再び キハ65系急行気動車

急行列車の冷房化推進
昭和40年代になると、生活水準は向上し、急行用1等車【グリーン車】も冷房化が進み、旧2等寝台のマロネ29やスロネ30と言った1等C寝台(非冷房車)も淘汰されており、引き続き急行用2等車の冷房化が計画されることとなりました。
しかし、ここで気動車の冷房用電源をどのように確保するべきかという問題が生じたのです。
特急気動車の場合は、キハ80系では、DMH17H-G形エンジンで発電して125KVAの集中電源装置で給電していますし、181系気動車ではDMF15H-G機関により150KVAの集中電源装置で編成全体の電力を賄うようになっています。
しかし、急行用気動車の場合、先行して1等車が【グリーン車】独自で冷房用エンジン(4DQ形ディーゼルエンジンを動力源とする25KVAに発電機)を搭載して自車を賄うようになっていました。
急行用気動車冷房化で困ったこと
そこで、2等車【普通車】の冷房化の場合は、1等車以外を冷房化することで良いと言うことになるのですが、キハ58の場合、エンジンが2基あり、新たに電源装置を搭載することが出来ません。そこで、1エンジンで床下に若干余裕がある、キハ28に発電セットを搭載すべく70KVA(4VK)の電源装置が開発され3両の給電が可能となりました。
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しかし、勾配線区を多く抱えるところでは必然的にキハ58の比率が高くなり、冷房化のためにキハ28と置き換えるとトータルの出力が低下してスピードダウンなどの問題が生じてしまいます。
そこで、冷房化と高出力化の両方を満たすために、キハ65形が計画されることとなりました。

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キハ65の特徴
キハ65は、キハ58との併結を主な目的としていたため、制御機器もキハ91やキハ181のハンドル式マスコンではなく、従来の方式と同じ装置が使われており、変速・直結の切換も従来車同様に手動式とされていますが、トルクコンバータの直結構造が爪クラッチとなっており完全な同期が必要となるなど、若干はキハ58などとは異なっていますが、キハ91で問題となった自然冷却方式ではなく、こちらもキハ58などと同じ強制冷却方式に変更されました。
ドアが折り戸となったのは、キハ91と同じ理由で台車の側面で重量をさえる特殊構造の台車を使用した結果でした。
窓は、12系客車と同じ上段上昇下段下降の153系以降の急行電車などに採用されたユニット方式でした。
また、洗面所の設備が省略されましたが、その分シートピッチが長くなり、1580mmとなっていました。
シートも背ずり下部が大きく張り出し、少し座面が低くて座り心地の大変良いもので、冷房装置と相まって指定席車に優先的に使われたそうです。
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なお、キハ65はその特性上低速時はキハ58に押され20km/h以上では逆にキハ65が押す形となる特性がありそうです。
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by blackcat_kat | 2018-04-17 23:15 | 気動車


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